冷たい風が吹いているけれどそんなに強くないので走ってみる。
今日は土曜日。
山道のいつものコースはすれ違う人が多かった。
地域のサークル活動なんだろう、お揃いのTシャツを着た子供達も走っており、まばらにすれ違う。
マイペースでいいから頑張って走れー、と
指導員の大人が励ましていた。
私の中でその言葉が繰り返される。
マイペースでいいんだ。頑張ろう。味わおう。楽しもう。
木々のトンネル、透ける日差し。
日向の輝き。遠くの海面は黄金の鏡に。
山の中だからか、夢中だからか、風は感じない。
鳥の声や小動物が動く音の記憶もない。
感覚は、光の輝きと足裏から伝わる根っこや土の感触。
緩いアップダウンに息を切らせ、ただ道を進む。
山道を降りると、小さな里山が広がる。
手入れをする人が、今日は家族も出ているのか数人いて楽しそうな話し声が響く。
足元は柔らかい土。
人一人が通るその道の脇には枯れた草が続く。
この足裏の感触。この日差し。この細い土の道。乾いた草。横の田畑。
小さい頃、母と兄弟と歩いた記憶が流れる。
菜の花やレンゲの花が咲く乾いた田んぼの土手で、
おにぎりを食べたような気がする。
少し、胸が痛くなった。
今この道が、懐かしい記憶の扉を開けた。
今、私も私の家族も両親も兄弟も元気でいる。
こんな幸せなことはない。
宇宙よ
私は幸せだよ。
本当にありがとう。
