流れ寄せ 寄せては散らす 冬嵐
ここは日本海。
昨日は冬至。朝早くこの町に着いた。
その前日は今年一番の寒波が到来し、大雪となった。
水を含んだ重たい雪は、倒木を起こし、停電となる被害も出ている。
寒さに弱い私としては、そのニュースやらあちらこちらで見かける倒木を見ては、
この高齢化している町の人たちを心配に思った。
思っているだけで何もできないけれど。
私がこの状況の中にいたら、意識がない状態であろう。
夜からまた寒波が張り出して大雪になるとニュースで繰り返し言っていた。
今のところ思ったより暖かくて、山から少し離れた海沿いのこの地では、降った雪はほとんど溶けて路肩に残っているだけになった。
天気予報通りなら、明日は一面の銀世界に。
目に映る世界が変わるんだなぁと、時々雨が降る中、傘をさして海へ散歩に行った。
この季節には珍しく穏やかな海だった。
穏やかな海。
灰色の空の色を映した透き通る水は、海底の岩場の様子も映し海の色を作っていた。
そして、人影のない岸辺には、多くのゴミが打ち上げられていた。
色とりどり、色んなもの。
生活物品、産業物品、医療廃棄物・・・・。
目に映るものはメッセージ。
今目の前に広がっている光景は、今の私へのメッセージ。
今日は冬至。
その意味を考えようとしたけれど、深く考えるのは止めた。
ただその光景を、心に留めた。
日が暮れる頃から、次第に風は強くなり、予報通りに嵐がやってくる気配を感じた。
一晩中強い風を感じていたが、今朝、思ったほどの強い冷え込みではなく、外の景色も変わっていなかった。
テレビのニュースでは、現場と予報と注意を促す内容が繰り返し流れていた。
予報通りになってきた。
大粒の氷が降ってきたり、雷が鳴ったり、粉雪やら大粒の雪が降ってきて、
みるみるうちに白銀の世界が広がっていった。
暖かい季節には波が立たない目の前の海も、大きなうねり。大きな波が砕けて高い白波が散っている。
空と海の分かれ目は白くぼやけ、海だとわかるところはもう大きく荒れている。
いっぱい着こんで、岸辺が見渡せるところまで出て行った。
昨日、岸辺一面に広がっていたあの漂流物。
真白い雪が隠してくれたかな。
強い風に当たりながら、大小の粒の雪に当たりながら、墨絵のような色の世界の中に、
真白く広がる地に、一歩ずつ足跡をつけながら。
自然の力強い美しい世界が広がっているのかな。
目に映ったのは、美しい岸部だった。
岸辺には、何もなかった。
いつもは届かない岸の上の方まで、届いた波は広がっていた。
力強く、大きく、広く、寄せては還っていく。
目に映るものはメッセージ。
雪が隠すのではなく、波が消していた。
今回も、いろんなメッセージを受け取ったけれど、
「シュレーディンガーの猫」を感じた。
そういえば、昨日海からの帰りに、雨宿りをする可愛い猫に会った。
目に映るものはメッセージ。
この世は愛に満ちている。
感謝。