寒九

陽が届く 心も冴える 寒九かな

空が白々と明けてきた。

簡単な準備運動を終え、靴紐を絞め、外へ出た。

ちょっと久しぶりの早朝。

朝はこんなに冷たいんだと知る。

走り始めは緩い下り坂。

ウォーミングアップを意識しながら、ゆらゆらと体を動かすけれど、冷たい気が体中に纏つく。

冷たい気の中を、熱を持った個体が動いていく、といった感じかな。

とにかく、この冷たさが、心に脳に気持ちいい。

空も、山も、海も、鳥も、

犬の散歩の方達とすれ違い、お仕事に向かう人を追い抜いて、行き交う少ない車も

今朝は特別な感じがした。

早起きは気持ちいい。

冴えて澄んだ気は特別に気持ちいい。

走りはコースの後半で登り坂。冷たさに慣れても体を包む冷気は動きを鈍くする。

苦しい時は呼吸を意識する。

足裏から頭頂へ。頭頂から指先へ。

エネルギーが流れる。

宇宙のエネルギーを取り込み、私のエネルギーを宇宙に放出する。

繰り返す。

繰り返し。

宇宙のエネルギーをいっぱい取り込んで循環して、私自身の心と脳と肉体が生き還っていく。

今日はとても気持ちいい始まりを迎えられた。

すっかり陽は東に昇っている。

地球は回っている。

頭の上でカラスが鳴いている。

鳩の声もどこからか聞こえてくる。

春が始まっている。

ありがとう。