伯母子岳

新緑の 山並み拝む 伯母子岳

高野熊野参詣道旅 4日目 小辺路ルート 2日目 伯母子峠越 〈大股〜三浦口〉

前日のお宿のご主人に注意ポイントを教えて頂き、GPSも準備し、気合いを入れて出発した。

すぐに急坂が始まる。気合いと緊張で夢中で歩いた。

1200mくらいに登ったところの桧峠からは、比較的になだらかな緑の道を進んだ。

伯母子峠に到着。(写真)

前方に雄大な景色が広がる。

風は冷たく吹いていたけれど、ここでひと息。

スタバのドリップコーヒーを入れた。

持参の高野山名物のやきもちも食べた。サイコっ!

ここは、山小屋、トイレ、伯母子岳頂上の道標も立っている。

ここは、ご主人が教えてくれた注意ポイント。

迂回路の案内があるはず。

ない。

別の方向に立ち入り禁止の看板があった。

よし、これの事だ。と小辺路の道標通りに先を進む。

結構危ない感じよー。

ちょっといいの?

道幅狭い。右手は壁。左は崖。

落ち葉が溜まっていたり崖からの砂利の道が続く。

雨だったらすべりやすいんじゃない?

え〜、ここ、ご主人が言ってた崖崩れっぽい様子だけど。まあ、木で階段が造られているから大丈夫なんだろ。

高所恐怖症の私。

眼下や景色を眺めてでもしていたら、足がすくんでクラクラしそう。

ここは1,200m。山肌に沿っている。遮るものなし。

もう必死で足元に注意をして進んだ。

天気が良くて良かった。

雨だったら歩けるかなぁ。

何メートル、何分続いたか、よくわからない。

必死。

ようやく、山肌を抜けて、木々の中の道になった。

ふう。

無事に抜けられて良かった。

いにしえの人も大変だったな。

靴や装備も今のようではなく、大荷物も持っていたんだろうな。

超、緊張して歩いていた時、カイドウのようなマジェンタ色の花咲く一本の木や、青く光るカナブンのような虫が目に映った。

ああ、綺麗。

気が張っている私は、とても大きな力をもらった。

色の力に感謝する。

道を進んでいると、右手にピンクのリボンが付いた木と、迂回路の案内。

ようやく、出てきた。ここかあ。

でも、うっかりしてたら気付かずに通り過ぎてしまいそうな案内の位置。

しかも、案内通りだと、戻ってしまう方向じゃない?この案内の意味、よくわからないよ。

このまま、道なりにまっすぐ続く道はしっかりしていて侵入禁止っぽくないし、その案内ついてない。

ご主人言っていたし。

ふーん。落ち着け。とその場を行ったり来たり、案内を見たり。2〜30分くらい悩んだ。

時間ももったいない。行くぞ!と、迂回路の案内通りに行ってみることにした。

道ではなく、ピンクのリボンがルート案内だった。

道ではない道を登りかけて間もなく、本日初めての人。3人組が上の方から走って下りてきた。

声をかける。三浦口はこちらですか?

私が登っていこうとしている方向は山頂だと。今行ってきた。三浦口には自分達もこれから行くところと。GPSで確認もしてくれた。

そんなやりとりをしている時に、もと私が歩いてきた道を、逆方向に歩いて行くおじさんが見えた。

そうか。じゃあ、迂回路じゃなく進もう。

私の相手をしてくれた3人組は、三浦口の方へ走って消えていった。

ここで会えて良かった。

歩き出してしみじみ思った。

なんてタイミングだろう。

歩き出してまもなく、向こう側から、またトレランのお兄さん1人とすれ違った。

優しい笑顔。向こうから来てるからこの道で大丈夫だろう。

今日山であった最後の人でした。

尾根を歩き、急な下り、崖になっている下り。

気を張って進み、開けた水ケ元茶屋跡に出た。

お大師様の像があった。まだ見守ってくれている。手を合わせる。

この茶屋のいわれの看板をよむ。ん、私?

っな〜んて、思いながら。お大師様の見守ってくれているここで、ご主人が作ってくれたお弁当を食べた。美味しい♪

お大師様に手を合わせ、出発。

眼下に川や建物が見え始める。

出口がもう間も無くだろうと思うのに、崩落場があり、細い道。注意というテープが一本あるだけ。ここで滑ったら、ズズズってかなり落ちてくでしょーって。2メートルくらいかな、慎重に歩き無事越えた。

最後に、岩場の細い道を通って伯母子岳登山口に出た。

川の向こうで、今日のお宿のご主人が車で迎えに来てくれていました。

近くのトンネルを抜けてすぐのところにお宿がありました。

県の重要文化財になっている立派な御門でご主人のお母様がお出迎えしてくださっていました。

山深く、ドコモも電波が弱い。

私の携帯は繋がらず。

お宿の隣に廃校になった小学校があり、そこのWi-Fiの電波を借りて家族に連絡をとった。

目の前、横には田んぼがあり、私の大好きな蛙の声が響いた。

大好き。この風景。この風。光。音。

薪で沸かしてくれたお風呂に入り、夕食は沢山のおかずのお料理を頂きました。

きっとすごく緊張していたと思う。美味しかったのに、食欲がなくて残してしまった。ごめんなさい。

このお宿のご主人とお母様の壮絶な人生のお話しをお聞きしました。

今は、乗り越えた優しい笑顔で心からのおもてなしをして下さいました。

懐かしい空気の場所で、田舎のおばあちゃん家に帰ってきたようだった。

蛙の声は、私が子供の頃、母の実家へ帰った時の懐かしい心落ち着く音なんです。

ここのご主人のこだわり。今のご時世だからこそ、文明も昔のまま。WiFiもあえてひかない、ということでした。

確かに、LINEも出来ないとなれば、かえって電波の束縛も無く、人と自然に心から触れ合えた気がする。

忘れていた心の解放感。

寝る前に月や星が見たくて外に出た。

月は雲に隠れていたけど、隙間から光が漏れていて、存在を感じた。

私の大好きな蛙の声が響いている。

今、ここに居られることに感謝。

おやすみなさい。

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